トラックミキサーで基本的な音作り(1)

 まずは、トラックミキサー使用前、適用後でどれだけ音が変わるかを比較する動画を作ってみた。曲は『窓辺の三月(ゴンチチ)』のアルペジオ・パートだけを弾いてみた。今回はそれの失敗テイクを使用。これを録音したのは先月(つまり3月)。

「そういえば 3月なんだな、じゃあ窓辺の三月を演ってみるか…」

…と思って 3日ぐらい練習して録音した。アルペジオ・パートは数年間張りっぱなしの古い弦で録音したが、メロディ・パートはキシキシ言う新しい弦で弾きたいと思って弦を張り替えた後、いざ録音…と思ったら、先に録音したアルペジオのチューニングが不正確だったことが判明。つまり、ラの音(A)が 440Hz になってなかった(440Hz よりちょっと高め…A と B♭ の間ぐらい)。古い弦の割に音がいいと思っていたが、それは高めのチューニングのせいだったらしい。

 張り替えたばかりのギターは音叉できっちりチューニング済みで、これを録音の音に合わせてチューニングし直すのは面倒だな…と思ってメロディパートをやる気が萎えてしまった……そんなワケで 2つ学習した。
 
1. オーバーダビングで録音する時は、途中で弦を張り替えてはいけない。
2. 録音する前には、必ず音叉でチューニングを確認しておく。  ……と。

YouTube動画:

※1か所ミスタイプ有り:
×:強みにかけると … (- -;
○:強めにかけると … (^ ^;

 最初の30秒ぐらいがエフェクト使用前、残りが使用後…ちょっと極端にリバーブとコーラスをかけてるけど、トラックミキサー(とセンドリターン・エフェクト)を使うだけでこれだけの音が作れるという見本なので。上述のとおりチューニングが不正確なので、絶対音感がある人が聴いたら気分が悪くなるかもしれない……
 最初のエフェクト未使用の音も、素朴で暖かい良い音だと思うが(まさに窓辺の三月)、リバーブやコーラスを強めにかけるとミュートして弾いてもサスティーンが続くので、万年ビギナーの稚拙な演奏を程よくゴマカシてくれる…アマチュアには欠かせないエフェクトなので、この使い方は覚えておかないと。。。
 とはいえ、この録音では窓辺の三月というより『窓辺のトロピカル(夜の窓辺の三月?)』みたいな感じになっちゃった…コーラスを強めにかけるとちょっと『エレアコ』ぽい音になるようだ。
 

トラックミキサーとは:

 マニュアルによると、レコーダーのオーディオトラックをステレオにミックスするミキサー…とあるが、なんか抽象的で分かりにくい。で、自分が使ってみた感触を文章にしてみると、要するに……

 トラック別に『パン』『EQ』『センドリターンエフェクト(の効果の深さ=センドに送る量)』『ステレオリンク』『フェーダー(音量)』『位相(左右チャネル)の反転』の各設定を行うミキサー、となるのかな。『トラック別に設定できる』のがポイント…それを『ステレオにミックスするミキサー』というひと言で表現しているのがマニュアルの文章だった。間違ってはいないけど、読者に訴えてこない官僚作文的な文章だと思う。まあ、文章のプロ(記者とか作家とか)が書いてるわけではないので、そこは仕方がないか。

 もうひとつのポイントは、この設定は『後がけ』であるということ。トラックミキサーの効果は直ちにヘッドホンやスピーカーでモニターできるが、各トラックに録音したデータは、基本はエフェクトのかかっていない生音で記録される。トラックミキサーの効果は『マスタートラック』に録音した時に初めて適用される仕組みのようだ。図にすると、こんな感じか。

f:id:foussin:20160418193629j:plain

01-R16-模式図.jpg

 

 マスタートラックとモニターの出力は、基本的には同じ音声信号が送られていると思うので、この図のようにマスターとモニターを分岐させる必要はないかもしれない(ただの模式図なので、そこは深く追及しないでください)。

 結局のところ、トラックミキサーとは音の微調整と増幅を行う『プリメイン・アンプ』と解釈すると良いかもしれない。センドリターン回路もトラックミキサーの中にある。だからトラックミキサー(センドリターン・エフェクトも含む)で作った音は、必ず『後がけ』になる。
 で、『インサート・エフェクト』の挿入位置を INPUT(の直後)にした時だけトラックへの『かけ録り』ができると、そういう解釈で良さそう(自分はインサート・エフェクトをまだ試してないので、もしかしたら間違ってるかもしれません)。

 マスタートラック録音をした後でトラックミキサーの設定値を変更すると、今後は以前のマスタートラックとは違う、別のマスタートラックが作られる。この場合、メモを取るなり覚えておくなりしておかないと以前の設定に戻せなくなるので、そこは注意が必要。

 基本的には、トラックミキサー設定は早めに決めてしまって、一度決めたらあとは絶対に触らない…という使い方が正解と思われる。もちろんマスタートラックに録音する前ならいくらでも変更可能という気軽さもある。要するに基本的な音色作りをする土台としてトラックミキサーを使うワケかな。

 長くなってきたので、ここでいったん区切る(つづく)。

MTR を買った(メトロノームを鳴らしてみる)

よし、やるか。
 

昔の機材:

f:id:foussin:20151024233755j:plain

 趣味でギターを弾いてた当時(80~90年代)の自分は、こんな機材を使っていた。サービス判カラープリントをデジカメで複写したので画質が悪いが、こんな写真しか残っていない。

 

f:id:foussin:20151024233812j:plain

 上の写真の拡大。写っているのは 2台のカセットテープ用 MTR(マルチトラックレコーダー)。上は TEAC 244、下の黒いのは PORTA 05。どちらも TASCAM 製。自分がデザイン事務所に就職して、一番最初に買った大きな買い物、それが TEAC 244 だった。たしか 15万円ぐらいした(初任給12万ぐらいだったので、もちろん分割払い…)。PORTA 05 はそれから 5年後ぐらいに買った。小さいので気軽に外に持ち出していた(ショルダー・ストラップ付)。

f:id:foussin:20151024233829j:plain

 一番上の写真の拡大。写っているのは 2本のパッチベイと KAWAI MX-8R(8チャンネルミキサー)。テレビ、VHSビデオデッキ、PC(MSX 2台)、MTR の音を全部オーディオスピーカーから出せるようにしていた。音量レベルを揃えるのも簡単だし、便利だった。
 最初は家電量販店で買った AVセレクターを使っていたが、すぐに物足りなくなって MX-8R を使うようになった。たしか 1万5000円ぐらいだった。このグレードにしてはあまりに安かったので、当時のイケベ楽器店で発見した時に即買いした。デジタルピークメーターだから安くできたのかな、と今なら思える(VUメーター付はもっと値が張る)。パッチベイも 1本 5000円ぐらい…割と安かったと記憶している(今は知らんけど)。
 ミキサーといっても、サウンドメイキングで使うことはほとんどなかった。パッチベイ経由で入力音源を TEAC 244 に回せばパラメトリックイコライザー等で処理できる。それで充分満足していた。写真ではスチール棚に置いてるだけだが、次の引っ越し先ではキャスター付ユニットを組んだりしたなあ…
 

MTRは ZOOM R16 を買った

 というわけでアナログ録音の知識は多少あったが、デジタルは完全な未経験者。MTR は欲しいけど何を買ったら良いかでずいぶん悩んだ。具体的には ZOOM R8 と R16、それと TASCAM PORTASTUDIOシリーズの8トラックMTR(機種名忘れた) の3機種に絞った。
 見た目では TASCAM が一番使い易そうに思えた。トラック別にピークメーターとパンつまみが付いてるところは上記の TEAC 244 とかと似ているし。
 R8 は機能的には問題なさそうだった。ZOOM の MTR は録音とミックスダウンを分けて考える思想のためにトラックごとのパンつまみは付けてないと解釈した(この思想は昔と比べたら確実に進化してると思う)…が、トラック別のピークメーターは付けてほしかったのと、実物を見たら予想以上に小さくて、視力の衰えた年配者には操作に難ありの印象を持った…若い人が使う分には問題ない(この小ささは若者には魅力的に映るはず)。
 R16 は…生ギターの録音で 16トラックも使わないからなあ…と思っていたが、8トラックのピークメーターが付いてるのは古い人間にとって安心感があった。それとオーディオ・インターフェイスとして使えるところに興味を持った。デジタル・オーディオでよく耳にする『オーディオ・インターフェイス』というものに触れる良い機会ではなイカ? なんて思っちゃったワケで、自分にはオーバースペックなのは明らかだけど結局 R16 を購入。

 ミックスダウンとレコーディングを別工程に分けて考える思想に慣れるのに時間がかかりそう… TEAC 244 だと、裏側のショートピンを引き抜いて、代わりにエフェクターなどを接続し、録音時には音色は決定済みで臨む…そんな使い方だった。カセットテープというメディアを使う以上、ダビング併用のミックスダウンは音の劣化が避けられなかった(それでも dbx ノイズリダクションのお陰で、ある程度のダビングには耐えた)。
 とはいえ、ミックスダウンで大幅に音を作り変える自由があるのはレコーディング・エンジニアとしての腕も試されるわけで、それはそれで難しい一面があるなあ、と思った。

f:id:foussin:20151024233853j:plain

ZOOM R16(白いMTRエフェクターみたいな軽いノリだ)
 

とりあえず電源 ON…

 重い腰を上げてようやく使ってみる(買ったのはけっこう前)。MTR を買うということは、ある程度やりたいことが決まっているものだが、今は深く考えずにアチコチいじるだけにする。まずは使い方を覚えなければ。今回やってみたのは…
 

メトロノームを鳴らしてみる:

 メトロノームの設定はプロジェクトごとに個別に保存される。メトロノーム設定は次の青線で囲んだところで行う。左上の点線のところは今回は使わなかった。

f:id:foussin:20151024233922j:plain

 一応『タップ入力』の方法とかを試した。練習曲の CD を聴きながらタップすれば、だいたい同じテンポが抽出できるので便利。が、メトロノームの音をトラックに録音する方法は、まだ分からない。たぶんミックスダウンやマスタートラック作成時に指定する方式っぽいのかな、と。
 ブログで紹介するためにメトロノームの音だけを録音しようと思ったが、そういう使い方は想定されていないらしい(ま、当然か)。入力トラックのフェーダーを絞って録音すればいいのかな…そういう使い方だったらスピーカーで再生出力し、それを PCMレコーダーで録音した方が早いな。というワケで PCMレコーダーを使ってメトロノームの音を録音してみた。

f:id:foussin:20151024233946j:plain

f:id:foussin:20151024234001j:plain

 

 



html5 の audio要素を使用(ブラウザによってはコントローラーが表示されない場合があります=再生できない)

 BELL, CLICK, STICK, COWBELL, HI-Q の 5種類の音が出る。音声データを低音質の MP3 にしたら BELL と CLICK が区別しづらくなってしまった。ヘッドホンで聞けばかろうじて区別できる。。。

 次は内蔵エフェクターを試す予定。が、回想シーンが無駄に長くなって既に長文になってしまったので、今回はここまで。